2023年3月、IFPIは2022年の音楽市場の売上データを公開しました。2022年にとても目立ったのは音楽新興国とされている、中国、中東、南米、アフリカにおいて目覚ましい成長を確認することができたということです。従来のランキングも踏まえて、世界音楽市場の現状を記事としてまとめています。
世界音楽市場ランキング2023
デジタルのストリーミングなどが伸びており、米国が1位。アーティストのニュースをみてもわかりますがアルバムの売り上げがとても伸びています。レコード会社のグループも世界展開をしておりパートナーシップを増やしているレーベルはすでに全体でダウンロードの販売も伸びています。ドイツは4位で高い収入が続いています。韓国もk-popがそこそこで順位を維持しています。動画やSNS(X,twitter)など集客を工夫しており、各国プラス成長で成功しています。8位、9位、10位はあまり変動していません。
Rank | Country | Growth Rate |
1 | United States | +4.8% |
2 | Japan | +5.4% |
3 | United Kingdom | +5.4% |
4 | Germany | +2.2% |
5 | China | + 28.4% |
6 | France | +7.7% |
7 | Korea | +8.1% |
8 | Canada | +8.1% |
9 | Brazil | +15.4% |
10 | Australia | +8.1% |
2022年のIFPIによると、意外にも日本がプラス成長したことでしょう。後述しますが、日本はフィジカル媒体の売り上げに大きく依存している国ですが、デジタル配信が意外と伸びたことにより、成長を記録しました。大きく躍進をしたのは中国で、産業自体が伸び悩んでいたフランスを抜いていきました。さらに南米の最大の国であるブラジルも、相当大きな成長を果たしており、今後も期待が集まります。その他の国はおおむね、プラス成長となっており、音楽産業が世界的に拡大していることが良くわかります。
世界音楽市場ランキングの直近推移
Rank | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 |
1 | United States | United States | United States | United States | United States |
2 | Japan | Japan | Japan | Japan | Japan |
3 | United Kingdom | United Kingdom | United Kingdom | United Kingdom | United Kingdom |
4 | Germany | Germany | Germany | Germany | Germany |
5 | China | France | France | France | France |
6 | France | China | China | Korea | Korea |
7 | Korea | Korea | Korea | China | China |
8 | Canada | Canada | Canada | Canada | Australia |
9 | Brazil | Australia | Australia | Australia | Canada |
10 | Australia | Italy | Netherland | Brazil | Brazil |
直近5年の推移をまとめました。上位5カ国はほとんど面子が固定されていましたが、フランスの音楽産業が近年ずっと大きな成長をすることができず、中国に抜かれていったという形になりました。それ以外の点では、ほとんど面子は固定されており、大きな変化も起こっていないことが良くわかるでしょう。
チャイナリスク
直近5年の推移を見ても1カ国だけ共産主義の国が入っていることに気づくでしょう。それは中国で、近年大きな成長があるものの、大きなリスクも伴っています。それは政治体制の問題により、音楽産業の成長が阻害される可能性があるということです。近年中国は世界的に孤立を深めており、今後も投資家は中国から離れて行く現象が加速していくとみられています。そんな中で中国の音楽市場が成長できるのかというところに注目が集まっています。
新興国の台頭
ここ数年、アフリカ、アジア、そして南米の市場が急速に拡大してきています。2022年の集計でも、アフリカ西部では35%の成長、南米では25%の成長、北アフリカと中東では23%の成長となっており、急速に台頭してきています。今は安泰の上位国も10年後は安泰とは言えないかもしれません。
なぜ日本は2位か?
以前、以下の記事でも紹介しましたが、日本はなぜ世界の音楽市場で2位なのかをまとめていました。2022年のランキングでも2位になっており、しかも若干のプラス成長をしたことが驚きでもありました。では日本はなぜ2位を維持できたのでしょうか。
オーディオレコードは減退
下記の集計は一般社団法人日本レコード協会による、レコードの生産実績です。これだけ見ると、日本が着実に衰退していることがわかるのですが、それ以外のところでも落ち気味なのは間違いありません。
Source : 一般社団法人日本レコード協会
音楽ソフト
音楽ソフトとのほうも明らかにダウントレンドになっていることがよくわかります。これでなぜ日本がプラス成長が来たのか、疑問視する方も多いかもしれません。
Source : 一般社団法人日本レコード協会
音楽配信が急成長
実は急成長している分野がひとつだけあるのです。それは音楽配信。音楽配信市場が成長を続けていることで、日本がプラス成長できたことがよくわかります。今後の日本市場がどうなるのかはこの音楽配信市場が、伸び続けられるのかどうかに掛かっているでしょう。
Source : 一般社団法人日本レコード協会
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